知っておきたい、歯科矯正について
歯ならびの悪さや噛み合わせの悪さを、きちんと噛み合うようにする歯科矯正。
その目的は、ただ見た目の良さだけを目的としているわけではありません。
今回は、歯科矯正の必要性や気になるポイントとしてよく挙げられる点について紹介したいと思います。
歯並びが原因で起こるお口と身体の不調
歯科矯正治療は「歯並びを調整し見た目を整えるための治療」と思っている方もいらっしゃるようですが、実はお口や身体の不調と大きく関わっているのです。
歯並びの悪さ=噛み合わせの悪さ であり、噛み合わせの悪さが原因となって、お口だけでなく身体全体に様々な悪い影響を与えることがわかっています。
例えば...
・歯磨きの際に歯ブラシが上手く当たらないため、磨き残しが発生。歯に歯垢が付着したままになり虫歯や歯周病につながる。
・上下の顎が正常に発育せず、下顎が出てしまったり口が閉じにくいなど、顔つきや表情に影響が出る。
・上下の噛み合わせが合わないまま食事を続けると顎関節に負担がかかり、顎関節症(顎の痛み、頭痛などの症状)を発症してしまう。顎関節周辺の筋肉の歪みから姿勢の悪さや身体全体のバランス、腰痛などにつながることも。
・口が閉じづらく、歯の間から空気が抜けてしまい発音がしにくい。
・咀嚼が不十分なため食べ物を上手く噛み砕くことが出来ず、その結果として消化器官へ負担がかかり便秘や下痢になりやすい。
など、歯並びの悪さはお口の中だけではなく身体の様々な部分に影響が出てしまいます。
歯科矯正は大人になってからでも間に合うの?
“歯科矯正”と聞くと、小学生~中学生の子供の時期に歯科検診で指摘を受け治療を開始するというイメージをお持ちの方も多いと思います。
たしかに、成人した大人の歯は歯の位置が定着してから時間が経っているため、永久歯が生え揃って間もない子供の時期に比べると矯正治療には余分に時間を要すこともあります。
ですが、「大人になってからでは遅い」「大人になってからやっても意味がない」という事は決してありませんし、十分治療をしてキレイな歯並びを手に入れることが可能です。
大人になってからの歯科矯正の場合は、特に「審美面」を気にして歯科矯正を受ける方が多くいらっしゃいます。
そして、歯並びを整えることは上記でも述べたようにその方の健康状態にも大きく影響をしますので、こちらでは大人になってから歯を矯正する主なメリットについて紹介いたします。
① コンプレックス、ストレスから解放される
歯並びが悪いと、どうしても人前で大きな口を開けて笑う事を避けたり、言葉を発すること自体が苦痛で人と接する事を避けたいと思っている方が非常に多くいらっしゃるようです。
ですが大人になると、仕事などでのお付き合い上、どうしても人と話さなければならない事は多々ありますよね。
そんな時に口元を気にすることなく自然に話し笑えるようになる事で、今まで抱えていたコンプレックスやストレスから解放され、前向きな気持ちで生活ができるようになっていきます。
② 健康な身体づくり
歯科矯正によって正常な位置・向きに顎を動かしながら食べ物を咀嚼できるようになることは、唾液の分泌を更に促すという効果があります。
唾液は食べ物の消化を助けるだけではなく、口腔内の衛生環境を整え虫歯を防いたり、免疫力を高めるといった働きもあります。
そして、しっかりとした咀嚼で顎を動かすことはなによりも脳への刺激ににつながるという事です。
脳の中には記憶を司っている「海馬」という部分があり、海馬は年齢とともに萎縮すると言われていますが、この海馬の神経細胞は咀嚼の刺激によって鍛えられ活性化すると言われています。
咀嚼 → 脳が刺激される → 脳内の血流が増える
を繰り返し、「脳全体が活性化する = 老化が防げる」というわけです。
さらに、歯列が正常な位置に収まることで顎周りの咀嚼筋がまんべんなく使われるようになると顔の筋肉の付き方が均等化しシワが改善されるなど、特に女性には嬉しい効果も期待できます。
大人になってから歯科矯正をすることは、見た目や体の内側、心理面両方に嬉しい効果をもたらしてくれます。
歯科矯正にはどんな種類があるの?
歯の矯正の方法には、歯列不正の状態などによってさまざまな種類のものがあります。
こちらでは、具体的にどのような種類の矯正があるのか、それぞれの特長や費用の相場、治療期間などについて紹介いたします。
[ブラケット矯正(表側)]
歯のひとつひとつに「ブラケット」と呼ばれる小さな器具を取り付け、ワイヤーで固定させる方法です。
“歯科矯正”と聞いてイメージするものが「ブラケット矯正」ではないでしょうか。
ブラケットにワイヤーを通し、少しずつワイヤーを引っ張ることで歯列を調整していきます。
<メリット>
・幅広い症状・状態に有効
・細かな調整が可能
・装着の違和感に慣れてしまえば、自身での取り外しもなく取扱いが楽
<デメリット>
・近年は見た目を意識した透明や白色のブラケットがありますが、矯正器具が目立つため見た目が気になる。
・歯磨の磨き方とケアに気を付けないと虫歯や歯周病になるリスクが高い
<費用と治療期間の目安>
2~3年 80~100万円前後
[裏側ブラケット矯正]
ブラケットとワイヤーを歯の外側(表側)でなく裏側(舌側)に装着し矯正する方法です。
<メリット>
・周囲の人からはほぼ見えないため矯正を気付かれにくい
・歯の裏側は表側に比べると比較的虫歯になりにくく、虫歯になるリスクが多少ではあるが低くなる
<デメリット>
・裏側に器具を付けるには矯正医の経験と技術が不可欠
・舌が器具に接するため違和感やしゃべり辛さを感じる
・表側のブラケット矯正に比べ費用が高くなる
<費用と治療期間の目安>
約3年 100万~120万円前後
[マウスピース矯正]
透明で薄い、取り外し可能なマウスピースを使った矯正治療の方法です。
一般的に、大がかりな歯列矯正ではなく軽微な調整のために用いられる事が多いです。
<メリット>
・食事中や歯磨きの際は取り外すことができ衛生的で虫歯のリスクも低い
・薄く透明なため目立ちにくく違和感を感じにくい
<デメリット>
・自由に取り外しができることでつい外している時間が長くなってしまい矯正の結果に影響が出る
・対応できる症状が限定される
・1日約20時間の装着が必要で、患者様の協力が必要不可欠
<費用と治療期間の目安>
約1~2年 60~80万円前後
健康を維持するために重要な「食」に密接に関わっているのが歯と口です。
このように、歯科矯正は見た目のきれいさだけを手に入れるためだけではなく、健康な身体で生活をしていくための大事な治療だといえます。
自身の歯並びやお子さんの歯並びについて不安をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ一度歯科医院へ相談に行かれることをおすすめします。
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